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新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方

2021年6月24日

新型コロナワクチンの子どもへの接種について日本小児科学会の見解が報告されたので、

子どもと子どもに接する大人の接種を悩んでいる方への参考になればと思い掲載しました。

何か疑問点がありましたらクリニックにご相談ください。

 

要旨

・子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者

 等)への新型コロナワクチン(以下、ワクチン)接種が重要です。

・重篤な基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、新型コロナウイルス感染症

 (以下、COVID-19)の重症化を防ぐことが期待されます。

・健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(感染拡大予防等)とデメリット(副反応等)

 を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。

 

はじめに

・国外での小児(12~15歳)を対象とした接種経験等をもとに、わが国でも2021年5月31日に

 12歳以上の小児へのワクチン接種が承認され、同年6月1日から適用となりました。

・国内では小児に対するワクチン接種後の副反応に関する情報はありません。一方で、国内の

 医療関係者約2万人へのワクチン接種後の重点的調査(コホート調査)から、接種部位の

 疼痛等の出現頻度が高く、若年者の方が高齢者より接種後に発熱、全身倦怠感、頭痛等の

 全身反応を認める割合が高いことが明らかになっています。

・そこで、子どもならびに子どもに接する成人へのワクチン接種に対する考え方を示します。

 

★子どもに関わる業務従事者へのワクチン接種が重要であると考えます。

・子どもへの感染源の多くは周りにいる成人であることから、子どもを感染から守るためには、

 周囲の成人が免疫を獲得することが重要と考えます。

・16歳以上の約4万人を対象とした国外の研究では、2回接種後のワクチン効果は95%

 (95% 信頼区間、90.3~97.6)で 、発症を予防する高い効果が報告されました。

・また、英国の研究結果から無症候性の感染を防ぐことも明らかになっていますので、

 ワクチン接種により周りの成人から子どもへの感染が予防できる可能性が期待されます。

 

・特に、重症化が懸念される医療的ケア児等に関わる業務従事者等 、重篤な基礎疾患の

 ある子どもに関わる業務従事者等 、および健康な子どもに関わる業務従事者等は、職種・

 勤務形態を問わずワクチンを接種することが重要と考えます。

 

★子どもへのワクチン接種の考え方

1)重篤な基礎疾患のある子どもへの接種

・国外では、神経疾患、慢性呼吸器疾患および免疫不全症を有する子どもの新型コロナウイルス

 感染例において、COVID-19の重症化が報告されています。

・国内においても接種対象年齢となる基礎疾患のある子どもの重症化が危惧されますので、

 ワクチン接種がそれを防ぐことが期待されます。

・しかし、高齢者と比べて思春期の子ども達、若年成人では接種部位の疼痛出現頻度は約90%と

 高く、接種後、 特に2回目接種後に発熱、全身倦怠感、頭痛等の全身反応が起こる頻度も

 高いことが示されています。

 (例:37.5℃以上の発熱は20代で約50%、50代で約30%、70代で約10%)

・以上のことから、ワクチン接種を検討する際には本人および養育者に十分な接種前の説明と

 接種後の健康観察が必要であると考えます。

・基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している

 主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。

 

2)健康な子どもへの接種

・12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は意義があると考えています。

・COVID-19予防対策の影響で子どもたちの生活は様々な制限を受け、子どもたちの心身の健康に大きな影響を与え

 続けています。

・小児COVID-19患者の多くは軽症ですが、まれながら重症化することがありますし、同居する高齢者の方がいる場合には

 感染を広げる可能性もあります。

・なお、子どもがワクチン接種をした場合、その後のマスク着用などの感染予防策の解除については、今後の流行状況など

 を踏まえて慎重に考える必要があります。

・子どもへのワクチン接種は、先行する成人への接種状況を踏まえて慎重に実施されることが望ましく、また、接種に

 あたってはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解していること、接種前・中・後におけるきめ細かな対応を

 行うことが前提であり、できれば個別接種が望ましいと考えます。

・やむを得ず集団接種を実施する際には、本人と養育者に対する個別の説明をしっかり行う配慮が望まれます。

・ワクチン接種を希望しない子どもと養育者に対しては、特別扱いされないような十分な配慮が必要と考えます。

・小児COVID-19が比較的軽症である一方で、国外での小児を対象とした接種経験等では、ワクチン接種後の

 発熱や接種部位の疼痛等の副反応出現頻度が比較的高いことが報告されています。

・十分な接種前の説明がないまま副反応が発生することがないようにすることが重要です。

・最近イスラエルや米国などから、若年男性におけるワクチン接種後の心筋炎の発症が報告されています。

・ワクチンとの因果関係やその臨床像・重症度についても、まだ十分な情報は得られていませんが、

 学会として今後も情報を収集し発出していきます。

 

 

 
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